超球面のソースを表示

{{about|一般次元多様体|余次元 1 の多様体|{{ill2|超球面 (余次元1)|en|hyperspere}}}}
[[Image:Sphere wireframe.svg|thumb|[[直交射影]]としての 2 次元球面ワイヤフレーム]]
[[Image:Hypersphere coord.PNG|right|thumb|[[立体射影]]が球面の表面を平面に射影できるのと全く同じように、3 次元球面の表面も 3 次元空間に射影できる。このイメージは 3 次元空間に射影された 3 つの座標方向を示している：
parallels（赤）、[[:en:Meridian (perimetry, visual field)|meridians]]（青）、hypermeridians（緑）。ステレオグラフ射影の[[等角写像|等角]]性によって、曲線は 4 次元においてそうであるように互いに直交に（黄色の点で）交わる。曲線のすべては円である： <0,0,0,1> と交わる曲線は無限大の半径を持つ（＝直線）。]]

[[数学]]において、'''{{mvar|n}} 次元球面'''（{{mvar|n}}-じげんきゅうめん、{{lang-en-short|{{mvar|n}}-sphere}}, ''n'' 球面）は普通の[[球面]]の [[n次元空間|''n'' 次元空間]]への一般化である。任意の[[自然数]] ''n'' に対して、半径 ''r'' の ''n'' 次元球面は中心点から距離 ''r'' にある (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元[[ユークリッド空間]]における点の集合として定義される。ここで半径 ''r'' は任意の[[正数|正の]][[実数]]でよい。したがって、原点を中心とする ''n'' 次元球面は
:<math>S^n = \{ x \in \mathbb{R}^{n+1} : \|x\| = r\}</math>
によって定義される。これは (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元ユークリッド空間内に存在する ''n'' 次元[[多様体]]である。

特に：
* 零次元球面は二点、すなわち[[実数直線|直線]]内の（一次元の対象である）[[線分]]の零次元の対象である端点の対、
* 一次元球面は[[円 (数学)|円]]、すなわち[[座標平面|平面]]内の（二次元の対象である）[[円板]]の一次元の対象である円周、
* 二次元球面は三次元[[座標空間|空間]]における（三次元の対象である）[[球体]]の二次元の対象である表面
である。

次元 ''n'' > 2 の球面は'''超球面''' (hypersphere){{efn|[[超平面]]の球面版として余次元 1 (全体空間より次元が 1 低い) という意味で「超」球面 (''hyper''&shy;sphere) と呼ぶ場合があるので注意。本項で言う意味の「超球面」はそれ自身が一つの多様体であり、全体空間となるべきほかの空間に埋め込まれることは必ずしも必要でない。}} と呼ばれることがあり、[[3次元球面|3 次元球面]]は glome と呼ばれることがある。原点に中心のある半径 1 の ''n'' 次元球面は {{mvar|n}}-次元'''単位球面'''または'''単位 ''n'' 次元球面''' (unit ''n''-sphere) と呼ばれ、''S''<sup>''n''</sup> と表記される。単位 ''n'' 次元球面はしばしば ''the'' ''n''-sphere と呼ばれる。

''n'' 次元球面は (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元[[球体]]の表面あるいは境界であり、''n'' 次元[[多様体]]である。''n''&nbsp;≥&nbsp;2 に対して、''n'' 次元球面は正の{{仮リンク|定曲率|en|Constant curvature}}の[[単連結]] ''n'' 次元多様体である。''n'' 次元球面にはいくつかの他の位相的記述がある。例えば、2 つの ''n'' 次元[[ユークリッド空間]]を貼り合わせることによって、{{mvar|n}}-次元[[超立方体]]の境界を一点と同一視することによって、あるいは (''n''&nbsp;&minus;&nbsp;1) 次元球面の[[懸垂 (位相空間論)|懸垂]]を（帰納的に）作ることによって構成できる。

==解説==

任意の（0を含む）[[自然数]] ''n'' に対して、半径 ''r'' の ''n'' 次元球面は (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元[[ユークリッド空間]]のある固定された点 '''c''' から距離 ''r'' にある点全体の集合として定義される。ここで ''r'' は任意の[[正の数|正の]][[実数]]でよく、'''c''' は (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元空間の任意の点でよい。特に：
* 零次元球面は点のペア {''c'' &minus; ''r'', ''c'' + ''r''} であり、線分（一次元球体）の境界である。
* [[円 (数学)|一次元球面]]は中心が '''c''' にある半径 ''r'' の[[円 (数学)|円]]であり、円板（二次元球体）の境界である。
* [[球面|二次元球面]]は三次元ユークリッド空間内の通常の二次元[[球面]]であり、通常の球体（三次元球体）の境界である。
* [[三次元球面]]は四次元ユークリッド空間内の球面である。

=== (''n'' + 1) 次元空間におけるユークリッド座標 ===

{{mvar|n}}-次元球面 {{mvar|S{{exp|n}}}} を定義する {{math|(''n'' + 1)}}-次元空間内の点 {{math|(''x''{{msub|1}}, ''x''{{msub|2}}, …, ''x''{{msub|''n''+1}})}} 全体の成す集合は、方程式

:<math>r^2=\sum_{i=1}^{n+1} (x_i - c_i)^2</math>

によって表される、ただし {{math|''c'' {{=}} (''c''{{msub|1}}, ''c''{{msub|2}}, …, ''c''{{msub|''n''+1}})}} は中心であり {{mvar|r}} は半径である。

上の ''n'' 次元球面は (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元ユークリッド空間に存在し、''n'' 次元[[多様体]]の例である。半径 ''r'' の ''n'' 次元球面の[[体積形式]] ω は

:<math>\omega = {1 \over r} \sum_{j=1}^{n+1} (-1)^{j-1} x_j \,dx_1 \wedge \cdots \wedge dx_{j-1} \wedge dx_{j+1}\wedge \cdots \wedge dx_{n+1} = * \; dr</math>

によって与えられる、ただし {{math|&lowast;}} は[[ホッジ双対|ホッジスター作用素]]である； {{math|''r'' {{=}} 1}} の場合のこの公式の証明と議論は {{harvtxt|Flanders|1989|loc=§6.1}} を見よ。結果として、<math>dr \wedge \omega = dx_1 \wedge \cdots \wedge dx_{n+1}.</math>

=== ''n'' 次元球体 ===
{{main|球体}}

''n'' 次元球面によって囲まれる有界領域は (''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元[[球体]] ({{mvar|n}}-ball) と呼ばれる。(''n''&nbsp;+&nbsp;1) 次元球は ''n'' 次元球面を含めば[[閉集合]]であり、含まなければ[[開集合]]である。

具体例：
* '''一次元球体'''は通常は[[線分]]と呼ばれる。零次元球面を成す二点を結ぶ線分という意味で零次元球面の内部と理解することができる。
* '''二次元球体'''は通常は[[円板 (数学)|円板]]と呼ばれ、[[円 (数学)|円周]]（一次元球面）の囲む領域になっている。
* '''三次元球体'''は単に[[球体]]と言えば普通はこれのことで、通常の[[球面]]（二次元球面）の内部である。
* '''四次元球体'''は[[三次元球面]]の内部である、etc.

===位相的記述===

[[位相幾何学]]的には、''n'' 次元球面は ''n'' 次元ユークリッド空間の[[アレクサンドロフ拡大|1点コンパクト化]]として構成できる。手短に言えば、''n'' 次元球面は <math>\mathbb{S}^n = \mathbb{R}^n \cup \{ \infty \}</math> として記述でき、これは ''n'' 次元ユークリッド空間プラス全ての方向における無限大を表す一点である。特に、一点が ''n'' 次元球面から除かれると、<math>\mathbb{R}^n</math> に[[位相同型|同相]]になる。これは[[立体射影]]の原理である<ref>James W. Vick (1994). ''Homology theory'', p. 60. Springer</ref>。

==体積と表面積==
{{see also|超球の体積}}
{| style="float:right; margin: 1ex 1em 1ex 1em; width: 30%;"
|
{| class="wikitable"
|-
! 定義
|
* {{math|''V''{{msub|''n''}}(''R'')}}: 半径 {{mvar|R}} の {{mvar|n}}-次元球体の {{mvar|n}}-次元体積
* {{math|''S''{{msub|''n''}}(''R'')}}: 半径 {{mvar|R}} の {{mvar|n}}-次元球面の {{mvar|n}}-次元体積
* {{math|''V''{{msub|''n''}} {{=}} ''V''{{msub|''n''}}(''R'')/''R''{{exp|''n''}}}}
* {{math|''S''{{msub|''n''}} {{=}} ''S''{{msub|''n''}}(''R'')/''R''{{exp|''n''}}}}
|-
! 漸化式
|
* <math>V_0=1,\; V_{n+1}=S_n/(n+1)</math>
* <math>S_0=2,\; S_{n+1}=2\pi V_n</math>
|-
! 閉じた式
|
* <math>S_{n-1}(R) = \dfrac{n\pi^{n/2}}{\Gamma(\frac{n}{2}+1)}R^{n-1}</math>
* <math>V_n(R) = \dfrac{\pi^{n/2}}{\Gamma(\frac{n}{2} + 1)}R^n</math>
ただし {{math|Γ}} は[[ガンマ関数]]である。
|}
|-
|
{| class="wikitable"
|+ 低次元の場合の例
! 次元 !! 値 !! 図形 !! 説明
|-
! rowspan="2" | 零次元
| <math>V_0=1</math> 
| 単位球体: 原点 
| rowspan="2" | 零次元{{仮リンク|ハウスドルフ測度|en|Hausdorff measure}}は集合内の点の数
|-
| <math>S_0 = 2</math> 
| 単位球面: 二点 {{math|{&minus;1, 1} }} 
|-
! rowspan="2" | 一次元
| <math>V_1 = 2</math> 
| 単位球体: 閉区間 {{math|[&minus;1, 1]}}
| {{math|[&minus;1, 1]}} の長さ（一次元測度）
|-
| <math>S_1 = 2\pi </math> 
| 単位球面: 単位円
| 単位円の円周の長さ
|-
! rowspan="2" | 二次元
| <math>V_2 = \pi</math>
| 単位球面: 単位円板
| 単位円板の面積（二次元測度）
|-
| <math>S_2 = 4\pi</math>
| 単位球面  
| 三次元空間内の二次元単位球面の表面積
|-
! rowspan="2" | 三次元
| <math>V_3 = \frac{4\pi}{3}</math>
| 単位球体
| 二次元球面の囲む体積（三次元測度）
|-
| ……
|}
|}
一般に、{{mvar|n}}-次元ユークリッド空間内の {{mvar|n}}-次元球体および {{math|(''n'' + 1)}}-次元ユークリッド空間内の {{mvar|n}}-次元球面の {{mvar|n}}-次元体積は、いずれも半径 {{mvar|R}} の {{mvar|n}}-乗に比例する。そこで、半径 {{mvar|R}} の {{mvar|n}}-次元球の体積を {{math|''V''{{msub|''n''}}(''R'') {{=}} ''V''{{msub|''n''}}''R''{{exp|''n''}}}}, {{mvar|n}}-次元球面の体積を {{math|''S''{{msub|''n''}}(''R'') {{=}} ''S''{{msub|''n''}}''R''{{exp|''n''}}}} と書いて、これら比例定数の成す[[数列]] {{mvar|V{{sub|n}}}}, {{mvar|S{{sub|n}}}} の性質を記述する。

=== 漸化式 ===
半径 {{mvar|R}} の {{math|(''n'' + 1)}}-次元球体の境界となる {{mvar|n}}-次元球面の「表面積」（正確には {{mvar|n}}-次元体積）は同球体の {{math|(''n'' + 1)}}-次元体積との間に、微分方程式
: <math>S_{n}R^{n}=\frac{dV_{n+1}R^{n+1}}{dR}={(n+1)V_{n+1}R^{n}}</math>
によって表される関係を持つ。あるいは同じことだが、単位 {{math|(''n'' + 1)}}-次元球体を無数の同心 {{mvar|n}}-次元「球殻」の合併として表すことにより
: <math>V_{n+1} = \int_0^1 S_{n}r^{n}\,dr = \frac{S_n}{n+1}</math>
を得る。

{{math|(''n'' + 2)}}-次元単位球面を、各部分が何れも円（一次元球面）と {{mvar|n}}-次元球面との直積として得られる {{math|(''n'' + 1)}}-次元のトーラスとなっているような和集合として表すこともできる。{{math|1= ''r'' = cos(&theta;)}} かつ {{math|1= ''r''{{exp|2}} + ''R''{{exp|2}} = 1}}, 従って {{math|1= ''R'' = sin(&theta;)}} かつ {{math|1= ''dR'' = cos(&theta;)&thinsp;''d''&theta;}} と置くと、
: <math>\begin{align} S_{n+2}
 &= \int_0^{\pi/2}(S_1 r)(S_n R^n)\, d\theta =\int_0^{\pi/2}S_1 S_n R^n\cos\theta\,d\theta\\
 &= \int_0^1 S_1 S_n R^n \,dR= S_1 \int_0^1 S_n R^n \,dR\\
 &= 2\pi V_{n+1}
\end{align}
</math>
を得る。ここで {{math|''S''{{msub|1}} {{=}} 2{{π}}''V''{{msub|0}}}} だから、任意の {{math|''n'' &ge; 0}} に対し等式
{{math|''S''{{sub|''n''+1}} {{=}}  2{{π}}''V''{{msub|''n''}}}} が成り立つ。

以上の漸化式をまとめると
: <math>V_0=1,\,V_{n+1}=S_n/(n+1),</math>
: <math>S_0=2,\,S_{n+1}=2\pi V_n</math>
ということになる。

===閉じた形===
上記の二つの漸化式から {{math|''V''{{msub|''n''+2}} {{=}} {{fraction|2{{π}}''V''{{msub|''n''}}|(''n''+2)}}}} であり、{{mvar|k}} に関して帰納的に
: <math>V_{2k} = \frac{\pi^k}{k!},\, V_{2k+1} = \frac{2(2\pi)^k}{(2k+1)!!} = \frac{2 k! (4\pi)^k}{(2k+1)!}</math>
を示すことは容易である。ただし {{math|!!}} は[[二重階乗]]を表す。これは奇数 {{math|2''k'' + 1}} に対して {{math|1=(2''k'' + 1)!! = 1&sdot;3&sdot;5&sdot;…&sdot;(2''k'' − 1)(2''k'' + 1)}} と定義されている。

一般に、{{mvar|n}}-次元単位球体の（{{mvar|n}}-次元ユークリッド空間内での）体積は
: <math>V_n = \frac{\pi^{n/2}}{\Gamma(\frac{n}{2} + 1)}</math>
によって与えられる、ただし {{math|Γ}} は[[ガンマ関数]]であり、{{math|Γ(1/2) {{=}} {{sqrt|{{π}}}}}}, {{math|Γ(1) {{=}} 1}}, {{math|Γ(''x'' + 1) {{=}} ''x''Γ(''x'')}} を満たす。

{{mvar|V{{msub|n}}}} に {{mvar|R{{exp|n}}}} を掛け、{{mvar|R}} について微分して {{math|''R'' {{=}} 1}} とおくと、閉じた形
: <math>S_{n-1} = \frac{2\pi^{n/2}}{\Gamma(\frac{n}{2} )}</math>
を得る。

===他の関係===
[[File:N SpheresVolumeAndSurfaceArea.png|thumb|center|500px|（''n'' はユークリッド空間の次元であり、体積がここにリストされている球体の内在的次元でもあるが、表面積がここにリストされている球面の内在的次元よりも 1 大きいことに注意。）曲がった赤の矢印は異なる ''n'' に対する公式の間の関係を示す。各矢印の指す先の式はその矢印の始点の式に矢印の頭の因子を掛けたものに等しい。もし下の矢印の向きを逆にすれば、それらの矢印の頭は 2{{π}}/(''n''&nbsp;&minus;&nbsp;2) を掛けることを示すことになる。別の言い方をすれば、''n'' + 2 次元空間内の球面の表面積 ''S''<sub>''n'' + 1</sub> はちょうど、2{{π}}''R'' を、''n'' 次元空間内の球面によって囲まれる体積 ''V<sub>n</sub>'' に掛けたものである。]]

漸化式は結合して図にかかれているように表面積に対して「逆向きの」漸化関係を与えることができる：
:<math>S_{n-1} = \frac{n}{2 \pi} S_{n-1+2}</math>
すると添え字を ''n'' から ''n'' &minus; 2 にシフトすることで漸化式

:<math>V_n = \frac{2 \pi}{n} V_{n-2}</math>

:<math>S_{n-1} = \frac{2 \pi}{n-2} S_{n-1-2}</math>

を得る、ただし S<sub>0</sub> = 2, V<sub>1</sub> = 2, S<sub>1</sub> = 2{{pi}}, V<sub>2</sub> = {{pi}}.

<math>V_n</math> に対する漸化関係も 2 次元[[極座標系|極座標]]での[[積分]]を経由して証明できる：

:<math>\begin{align}
V_n 
& = \int_0^1 \int_0^{2\pi} V_{n-2}(\sqrt{1-r^2})^{n-2} \, r \, d\theta \, dr \\[6pt]
& = \int_0^1 \int_0^{2\pi} V_{n-2} (1-r^2)^{n/2-1}\, r \, d\theta \, dr \\[6pt]
& = 2 \pi V_{n-2} \int_{0}^{1} (1-r^2)^{n/2-1}\, r \, dr \\[6pt]
& = 2 \pi V_{n-2} \left[ -\frac{1}{n}(1-r^2)^{n/2} \right]^{r=1}_{r=0} \\[6pt]
& = 2 \pi V_{n-2} \frac{1}{n} = \frac{2 \pi}{n} V_{n-2}.
\end{align}</math>

== 球座標系 ==
3 次元ユークリッド空間に対して定義される[[球面座標系]]に類する座標系を ''n'' 次元ユークリッド空間において定義できる。座標は[[動径]]座標 {{mvar|r}} と ''n''&nbsp;&minus;&nbsp;1 個の[[偏角]]座標 <math>\phi _1 , \phi _2 , \dots , \phi _{n-1} \,</math> からなる、ただし <math>\phi_{n-1} \,</math> は <math>[0, 2\pi) \,</math> [[ラジアン]]（あるいは [0, 360) 度）の範囲を動き、他の角度は <math>[0, \pi] \,</math> ラジアン（あるいは [0, 180] 度）の範囲を動く。<math>\ x_i</math> が[[直交座標]]であれば、<math>x_1,\ldots,x_n</math> を <math>r, \phi_1,\ldots,\phi_{n-1}</math> から次によって計算できる：

:<math>
\begin{align}
x_1 &= r \cos(\phi_1) \\
x_2 &= r \sin(\phi_1) \cos(\phi_2) \\
x_3 &= r \sin(\phi_1) \sin(\phi_2) \cos(\phi_3) \\
    &\vdots\\
x_{n-1} &= r \sin(\phi_1) \cdots \sin(\phi_{n-2}) \cos(\phi_{n-1}) \\
x_n &= r \sin(\phi_1) \cdots \sin(\phi_{n-2}) \sin(\phi_{n-1}) \,.
\end{align}
</math>

下で述べる特別な場合を除いて逆変換は一意である：

:<math>
\begin{align}
r      &= \sqrt{{x_n}^2 + {x_{n-1}}^2 + \cdots + {x_2}^2 + {x_1}^2} \\
\phi_1 &= \arccot \frac{x_{1}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2+\cdots+{x_2}^2}} = \arccos \frac{x_{1}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2+\cdots+{x_1}^2}} \\
\phi_2 &= \arccot \frac{x_{2}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2+\cdots+{x_3}^2}} = \arccos \frac{x_{2}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2+\cdots+{x_2}^2}} \\
       &\vdots\\
\phi_{n-2} &= \arccot \frac{x_{n-2}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2}} = \arccos \frac{x_{n-2}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2+{x_{n-2}}^2}} \\
\phi_{n-1} &= 2\arccot \frac{x_{n-1}+\sqrt{x_n^2+x_{n-1}^2}}{x_n} = \begin{cases}
    \arccos \frac{x_{n-1}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2}} & x_n\geq 0 \\
    2 \pi - \arccos \frac{x_{n-1}}{\sqrt{{x_n}^2+{x_{n-1}}^2}} & x_n < 0
\end{cases} \,.
\end{align}
</math>

ただし、ある ''k'' に対して <math>x_k \ne 0</math> であるが <math>x_{k+1},\ldots,x_n</math> がすべて 0 であれば、<math>x_k > 0</math> のとき <math>\phi_k = 0</math> であり、<math>x_k < 0</math> のとき <math>\phi_k = \pi</math> ラジアン（180度）である。

逆変換が一意でない特別な場合がある； <math>x_k,x_{k+1},\ldots,x_n</math> がすべて 0 であるときにはいつでも、任意の ''k'' に対して <math>\phi_k</math> は ambiguous になる； この場合 <math>\phi_k</math> は 0 と選ぶことができる。

===球面体積要素===
ラジアンで角度を表すとき、''n'' 次元ユークリッド空間における[[体積要素]]は変換

: <math>
\begin{align}
d^nV & = 
\left|\det\frac{\partial (x_i)}{\partial(r,\phi_j)}\right|
dr\,d\phi_1 \, d\phi_2\cdots d\phi_{n-1} \\[6pt]
& = r^{n-1}\sin^{n-2}(\phi_1)\sin^{n-3}(\phi_2)\cdots \sin(\phi_{n-2})\,
dr\,d\phi_1 \, d\phi_2\cdots d\phi_{n-1}
\end{align}
</math>

の[[ヤコビアン]]から見つかるだろう、そして ''n'' 次元球の体積の上記の等式は

: <math>V_n=\int_{\phi_{n-1}=0}^{2\pi} \int_{\phi_{n-2}=0}^\pi
\cdots \int_{\phi_1=0}^\pi\int_{r=0}^R d^nV \,</math>

を積分することによって再び得ることができる。(''n'' &minus; 1) 次元球面の体積要素は、2 次元球面の[[面積要素]]を一般化するが、

: <math>d_{S^{n-1}}V = 
\sin^{n-2}(\phi_1)\sin^{n-3}(\phi_2)\cdots \sin(\phi_{n-2})\, d\phi_1 \, d\phi_2\cdots d\phi_{n-1}</math>

によって与えられる。角度座標上の直交基底の自然な選択は ''j''&nbsp;=&nbsp;1,&nbsp;2,&nbsp;...,&nbsp;''n''&nbsp;&minus;&nbsp;2 に対して[[ゲーゲンバウアー多項式]]

: <math>
\begin{align}
& {} \quad \int_0^\pi \sin^{n-j-1}(\phi_j) C_s^{((n-j-1)/2)}(\cos \phi_j)C_{s'}^{((n-j-1)/2)}(\cos\phi_j) \, d\phi_j \\[6pt]
& = \frac{\pi 2^{3-n+j}\Gamma(s+n-j-1)}{s!(2s+n-j-1)\Gamma^2((n-j-1)/2)}\delta_{s,s'}
\end{align}
</math>

の積であり、角度 ''j''&nbsp;=&nbsp;''n''&nbsp;&minus;&nbsp;1 に対して[[球面調和関数]]と一致して ''e''<sup>&nbsp;''is&phi;''<sub>''j''</sub></sup> である。

== 立体射影 ==
{{main|立体射影}}

3 次元に埋め込まれた 2 次元球面が 2 次元平面の上へと[[ステレオ投影|立体射影]]によって写像できるのと全く同じように、''n'' 次元球面は ''n'' 次元超曲面の上へと立体射影の ''n'' 次元バージョンによって写像することができる。例えば、半径 1 の 2 次元球面上の点 <math>\ [x,y,z]</math> は ''xy'' 平面上の点 <math>\left[\frac{x}{1-z},\frac{y}{1-z}\right]</math> に写る。言い換えると、
:<math>\ [x,y,z] \mapsto \left[\frac{x}{1-z},\frac{y}{1-z}\right].</math>

同様に、半径 1 の ''n'' 次元球面 <math>\mathbf{S}^{n-1}</math> のステレオグラフ射影は <math>\ x_n</math> 軸に垂直な <math>n-1</math> 次元超平面 <math>\mathbf{R}^{n-1}</math> に次のように写る
:<math>[x_1,x_2,\ldots,x_n] \mapsto \left[\frac{x_1}{1-x_n},\frac{x_2}{1-x_n},\ldots,\frac{x_{n-1}}{1-x_n}\right].</math>

== ランダムな点を生成する ==

=== (''n''&nbsp;&minus;&nbsp;1) 次元球面から一様に無作為に ===
[[連続一様分布|一様に分布した]]ランダム点を (''n''&nbsp;&minus;&nbsp;1) 次元球面（すなわち ''n'' 次元球の表面）上に生成するために、{{harvtxt|Marsaglia|1972}} は以下のアルゴリズムを与える。

[[正規分布]]に従う ''n'' 次元ベクトル <math>\mathbf{x}=(x_1,x_2,\ldots,x_n)</math> を生成する（実は[[分散 (確率論)|分散]]の選択は任意であるが N(0,&nbsp;1) を使うので十分である）。

今この点の「半径」 <math>r=\sqrt{x_1^2+x_2^2+\cdots+x_n^2}</math> を計算する。

ベクトル <math>\frac{1}{r} \mathbf{x}</math> は単位 ''n'' 次元球の表面上一様に分布している。

==== 例 ====
例えば、''n'' = 2 のとき正規分布 exp(&minus;''x''<sub>1</sub><sup>2</sup>) は別の軸 exp(&minus;''x''<sub>2</sub><sup>2</sup>) 上拡大されたとき掛けた後 exp(&minus;''x''<sub>1</sub><sup>2</sup>&minus;''x''<sub>2</sub><sup>2</sup>) あるいは exp(&minus;''r''<sup>2</sup>) の形を取り、したがって原点からの距離のみに依存する。

==== 別の方法 ====
超球面上ランダム分布を生成する別の方法は超球の外にある点を除く単位超球を含む超立方体上の[[一様分布]]を作って残りの内点を原点から表面の上に外へ射影することである。これは一様分布を与えるが、外点を除く必要がある。超球の超立方体に対する相対的な体積は非常に急速に次元とともに減少するから、この手続はかなり小さい数の次元に対してのみ高い確率で成功する。

{{仮リンク|ウェンデルの定理|en|Wendel's theorem}}は生成される全ての点が超球面の同じ半分にある確率を与える。

=== ''n'' 次元球から一様に無作為に ===
''n'' 次元球の表面から一様に無作為に選ばれた点とともに、''n'' 次元球内の一様に無作為に点を得るためには半径のみが必要である。''u'' が区間 [0,&nbsp;1] から一様に無作為に生成された数であり '''x''' が一様に無作為に ''n'' 次元球の表面から選ばれた点であれば、u<sup>1/n</sup>'''x''' は全単位 ''n'' 次元球上一様に分布している。

==具体的な球面==

; 0 次元球面 : ある ''R'' > 0 に対して[[離散位相]]を持った点の対 {±''R''} 。不連結な唯一の球面。自然な[[リー群]]構造を持ち、O(1) に同型。平行化可能。自己交叉を許して滑らかかつ連続的に1次元空間内で裏返しができる<ref name="mse">http://math.stackexchange.com/questions/479383/turning-higher-spheres-inside-out/479417#479417</ref>。
; 1 次元球面 : [[円]]とも呼ばれる。非自明な[[基本群]]を持つ。可換リー群構造 [[U(1)]], [[円周群]]。[[実射影直線]] '''R'''P<sup>1</sup> に位相同型。平行化可能。SO(2) = U(1).
; 2 次元球面 : [[球面]]とも呼ばれる。複素構造； [[リーマン球面]]参照。{{仮リンク|複素射影直線|en|complex projective line}} '''C'''P<sup>1</sup> に等しい。SO(3)/SO(2). 自己交叉を許して滑らかかつ連続的に3次元空間内で裏返しができる<ref name="mse" />（{{仮リンク|スメールのパラドックス|en|Smale's paradox}}）。
; 3 次元球面 : 平行化可能、2 次元球面{{仮リンク|ホップファイブレーション|label=上|en|Hopf fibration}}主 U(1) 束、リー群構造 {{仮リンク|Sp(1)|en|Sp(1)|preserve=1}}, また、
::<math>\operatorname{Sp}(1) \cong \operatorname{SO}(4)/\operatorname{SO}(3) \cong \operatorname{SU}(2) \cong \operatorname{Spin}(3)</math>.
; 4 次元球面 : {{仮リンク|四元射影直線|en|quaternionic projective line}} '''H'''P<sup>1</sup> に等しい。SO(5)/SO(4).
; 5 次元球面 : '''C'''P<sup>2</sup> 上主 U(1) 束。SO(6)/SO(5) = SU(3)/SU(2).
; 6 次元球面 : 純単位[[八元数]]の集合から来る概複素構造。SO(7)/SO(6) = ''G''<sub>2</sub>/SU(3). 自己交叉を許して滑らかかつ連続的に7次元空間内で裏返しができる<ref name="mse" />。
; 7 次元球面 : 単位[[八元数]]の集合として位相的{{仮リンク|擬群|en|quasigroup}}構造。''S''<sup>4</sup> 上主 Sp(1) 束。平行化可能。SO(8)/SO(7) = SU(4)/SU(3) = Sp(2)/Sp(1) = Spin(7)/''G''<sub>2</sub> = Spin(6)/SU(3). 7 次元球面は特に面白いなぜなら最初の{{仮リンク|異種球面|en|Exotic sphere}}が発見されたのはこの次元においてだったから。
; 8 次元球面 : 八元射影直線 '''O'''P<sup>1</sup> に等しい。
; 23 次元球面 : 最も高密度な[[球充填]]は 24 次元空間において可能であり、これは{{仮リンク|リーチ格子|en|Leech lattice}}の一意的なクオリティーに関係している。

== 関連項目 ==
* {{仮リンク|アファイン球面|en|Affine sphere}}
* {{仮リンク|共形幾何学|en|Conformal geometry}}
* {{仮リンク|ホモロジー球面|en|Homology sphere}}
* {{仮リンク|球面のホモトピー群|en|Homotopy groups of spheres}}
* {{仮リンク|ホモトピー球面|en|Homotopy sphere}}
* {{仮リンク|双曲群|en|Hyperbolic group}}
* [[超立方体]]
* [[反転幾何学]]
* {{仮リンク|ループ (位相幾何学)|en|Loop (topology)}}
* [[多様体]]
* [[メビウス変換]]
* [[直交群]]
* {{仮リンク|球冠|en|Spherical cap}}
* [[超球の体積]]

== 注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist}}

== 参考文献 ==
* {{cite book | last1=Flanders | first1=Harley | title=Differential forms with applications to the physical sciences | publisher=[[Dover Publications]] | location=New York | isbn=978-0-486-66169-8 | year=1989}}.
* {{Cite book | last1=Moura | first1=Eduarda | last2=Henderson | first2=David G. | title=Experiencing geometry: on plane and sphere | url=http://www.math.cornell.edu/~henderson/books/eg00 | publisher=[[Prentice Hall]] | isbn=978-0-13-373770-7 | year=1996 | ref=harv | postscript=<!-- Bot inserted parameter. Either remove it; or change its value to "." for the cite to end in a ".", as necessary. -->{{inconsistent citations}}}} (Chapter 20: 3-spheres and hyperbolic 3-spaces.)
* {{Cite book | last1=Weeks | first1=Jeffrey R. | author1-link=Jeffrey Weeks (mathematician) | title=The Shape of Space: how to visualize surfaces and three-dimensional manifolds | publisher=Marcel Dekker | isbn=978-0-8247-7437-0 | year=1985 | ref=harv | postscript=<!-- Bot inserted parameter. Either remove it; or change its value to "." for the cite to end in a ".", as necessary. -->{{inconsistent citations}}}} (Chapter 14: The Hypersphere)
* {{cite journal|last=Marsaglia|first=G.|title=Choosing a Point from the Surface of a Sphere|journal=Annals of Mathematical Statistics|volume=43|pages=645–646|year=1972|doi=10.1214/aoms/1177692644|issue=2|ref=harv}}
* {{cite journal|first=Greg|last=Huber|title=Gamma function derivation of n-sphere volumes|journal=Am. Math. Monthly|volume=89|year=1982|pages=301–302|mr=1539933 |jstor=2321716|issue=5|doi=10.2307/2321716|ref=harv
}}
* {{cite journal|first1=Nir | last1=Barnea | title=Hyperspherical functions with arbitrary permutational symmetry: Reverse construction
|year=1999 | journal = Phys. Rev. A | doi=10.1103/PhysRevA.59.1135
|volume=59 | number=2|pages=1135–1146}}

==外部リンク==
* [http://www.bayarea.net/~kins/thomas_briggs/ Exploring Hyperspace with the Geometric Product]
* {{MathWorld|title=Hypersphere|urlname=Hypersphere}}
* {{PlanetMath|urlname=sphere|title=sphere (2. Generalization)}} / {{PlanetMath|urlname=AreaOfTheNSphere|title=area of the {{mvar|n}}-sphere}}

{{Dimension topics}}

{{DEFAULTSORT:ちようきゆうめん}}
[[Category:高次元幾何学]]
[[Category:球面]]
[[Category:数学に関する記事]]