三次関数のソースを表示

{{出典の明記|date=2016年5月}}
[[file:Polynomialdeg 3.svg|thumb|right|三次函数のグラフ。零点 ({{math|1=''y'' = 0}}) はグラフが [[直交座標系|{{mvar|x}}-軸]]と交わる点である。このグラフは二つの[[極値]]を持つ。]]
[[file:Cube 1-x+xx+xxx.svg|thumb|right|三次函数 {{math|1=''f''(''x'') = 1 - ''x'' + ''x''² + ''x''³}} のグラフ]]
[[file:Roots cube 1-x+xx+xxx.svg|thumb|right|三次函数 {{math|1=''f''(''x'') = 1 - ''x'' + ''x''² + ''x''³}} の[[ガウス平面]]における三根]]

[[数学]]における'''三次函数'''（さんじかんすう、{{lang-en-short|''cubic function''}}）とは、単に[[多項式の次数|次数]] {{math|3}} の[[多項式函数]]との意味であって、しかし多くの場合にはより限定的な意味に解して、{{仮リンク|実変数|en|Function of a real variable|label=実}}{{仮リンク|一変数|en|univariate}}の[[実数値函数]]を考える。すなわち、[[実数]]体 {{math|'''R'''}} 上の[[多項式]]に対して、[[不定元]]への[[多項式#多項式函数|代入によって定められる函数]]という意味において、
: <math>f(x)=a x^3 + b x^2 + c x + d</math> 
（{{mvar|a, b, c, d}} は実数の定数で {{math|''a'' &ne; 0}}）なる形の三次多項式の定める函数 {{math|''f'': '''R''' → '''R'''}} である。{{sfn|Szecsei|2006|p=239}}

== 性質 ==
=== 無限遠での振舞い ===
任意の奇数次多項式函数がそうである通り、最高次係数が正 ({{math|''a'' > 0}}) のとき
: <math>\lim\limits_{x \to +\infty} f(x) = +\infty</math>, <math>\lim\limits_{x \to -\infty} f(x) = -\infty</math>
および最高次係数が負 ({{math|''a'' < 0}}) のとき
: <math>\lim\limits_{x \to +\infty} f(x) = -\infty</math>, <math>\lim\limits_{x \to -\infty} f(x) = +\infty</math>
が成り立つ。

=== 零点 ===
{{main|三次方程式}}
（任意の多項式函数がそうである通り）三次函数は[[連続函数]]であるから[[中間値の定理]]が適用できて、上で見た無限遠での振舞いと合わせると、任意の三次函数が少なくとも一点の実零点を持つことが分かる。他方、[[代数学の基本定理|代数方程式論の基本定理]]により、任意の {{mvar|n}}-次多項式函数の零点の個数は高々 {{mvar|n}} 個であるから、まとめると三次函数の実零点の数は、一つ以上三つ以下といことになる。

三次函数の零点の配置については、[[三次方程式]]や{{仮リンク|カルダノの公式|de|Cardanische Formeln|redirect=1}}などの項に譲る。一般の三次函数に対する[[判別式]]は
: <math>D = b^2c^2 - 4ac^3 - 4b^3d -27a^2d^2 + 18abcd</math>
で与えられ、これを用いて零点の類別を行うことができる。すなわち、{{math|''D'' > 0}} ならば相異なる三零点、{{math|''D'' < 0}} ならば一零点であり、{{math|1=''D'' = 0}} のときには、一つの単純零点ともう一つの二位の零点を持つかあるいは一つの三位零点を持つ。

[[ニュートン法]]などの数値的な零点探索も行うことができる。

=== 単調性と極値 === 
任意の多項式函数と同じく、三次函数 {{mvar|f}} は[[微分可能]]である。その一階導函数 {{mvar|f{{'}}}} は[[二次函数]]
: <math>f'(x) = 3ax^2 + 2bx+c</math>
であり、この判別式 {{math|4''b''{{exp|2}} &minus; 12''ac''}} が正（すなわち {{math|''b''{{exp|2}} > 3''ac''}}）のとき、{{mvar|f}} は極大値と極小値をちょうど一つずつとる{{sfn|Szecsei|2006|p=239}}。さもなくば {{mvar|f}} は狭義[[単調函数]]（より精確に、{{math|''a'' > 0}} ならば狭義単調増大、{{math|''a'' < 0}} ならば狭義単調減少）である。

=== 変曲点と対称性 ===
各三次関数 {{mvar|f}} はただ一つの[[変曲点]] {{math|(''x''{{msub|W}}, ''f''(''x''{{msub|W}}))}} を持つ。この変曲点は 
: <math>x_W = -\frac{b}{3a}</math>
で与えられ、これは二階導函数 {{math|1=''f"''(''x'') = 6''ax'' + 2''b''}} の唯一の零点である。{{sfn|Szecsei|2006|p=239}}

三次函数 {{mvar|f}} の[[函数のグラフ|グラフ]]は、変曲点に関して[[点対称]]である<ref>{{cite web|title=All cubic polynomials are point symmetric|author=Michael de Villiers|url=http://educadores.diaadia.pr.gov.br/arquivos/File/2010/artigos_teses/EDUCACAO_E_TECNOLOGIA/CUBICS.PDF|accessdate=14 December 2015}}</ref>。

=== 正規形 ===
{{seealso|[[臨界点 (数学)]]}}
適当な平行移動および原点に関する拡大縮小をおこなうことにより、任意の三次函数 {{mvar|f}} を
: <math>g(u)=u^3 + k u</math>
なる形の三次函数 {{mvar|g}} に帰着することができる。ここに一次の係数は {{math|''k'' &isin; {{mset|&minus;1, 0, 1}}}} に取れる。これらの正規形 (normal form) は以下のように特徴を述べることができる:
# {{math|1=''k'' = &minus;1}}: {{mvar|g}} は二つの極値点を持つ。
# {{math|1=''k'' = 0}}: 極値点は一致して一つの[[鞍点]]となる。
# {{math|1=''k'' = 1}}: {{mvar|g}} は極値点も鞍点も持たない（実際、このとき導函数は常に正である）。
この正規形を得るために行った変換は極値の存在性を変えないので、これらの特徴付けはもとの函数 {{mvar|f}} にも適用できる。実は係数 {{mvar|k}} は {{mvar|f}} の一階導函数の判別式の符号を変えたものになっている。

== 三次抛物線 ==
'''三次抛物線'''または'''立方抛物線'''<ref>{{citation |和書| title= グラフ教授 | last= 新宮 | first= 恒次郎 | publisher= 大阪修文館 | year= 1924 | url= {{google books |plainurl=yes | id= K29_18aMcg4C | page= 264 | text= %22%E4%B8%89%E6%AC%A1%E6%8A%9B%E7%89%A9%E7%B7%9A%22}}}}</ref> (''cubic parabola'') は三次函数のグラフの描く平面三次曲線として定義される。曲線の性質は平行移動不変であるから、この曲線の特徴を調べるには {{math|1=''b'' = ''d'' = 0}} の三次多項式のみを見れば十分である。

== 参考文献 ==
{{reflist}}
* {{citation | first= Denise | last= Szecsei | title= Calculus | publisher= Career Press |year= 2006 | isbn= 9781564149145| url= {{google books |plainurl=yes| id= O-jnso2r5xwC | page= 239 | text= cubic+function}}}}

== 関連項目 ==
* {{仮リンク|三次曲線|en|Cubic curve}}

{{polynomials}}
== 外部リンク ==
* {{MathWorld | urlname= CubicPolynomial | title= Cubic Polynomial}}

{{DEFAULTSORT:さんしかんすう}}
[[Category:多項式]]
[[Category:数学に関する記事]]